映画「少年たち」を観ての感想ーダサい、しかしそこが良い?
映画「少年たち」を観ました。
ジャニーズJr.に関する知識はほぼない素人なのですが、某Mステでパフォーマンスを見て「かっけぇ~~!!」となり、観に行ってみた。舞台のほうも未観劇です。
観賞後、なんというか色々衝撃で、「この映画を自分のなかでどう解釈したら良いのだろう‥‥」と悶々としてたのですが、他の方のレビューをいくつか拝読して、自分の考えも定まってきたので、感想を書きます。
※色々ツッコミを入れてますので、そういうの嫌!!って方はご注意ください。
★★ネタバレしてますのでご注意ください★★
‥‥まず、色々な方のレビューでも見かけましたが、演出がダサいんですよね、この映画。
いや、予告を観た段階でちょっと予感はしてましたよ。カラフルなつなぎはともかく、頭にバンダナみたいなの巻いてたりとか、ダンス後のキメポーズとか、「あれ‥‥?ちょいダサじゃない?」とは思ってました。
でも実際に観てみたら、想像をはるかに超えていた。
まず最初、ワンカメラで撮ったという圧巻のオープニング・ダンスシーン。
これはカッコよかった!Mステで見た「Fire Storm」とともにアクロバティックなダンスが展開され、これこれ~、これが見たかったんだよ~~!とテンションが上がる。
しかし、赤房のリーダーと青房のリーダーに焦点が当たるシーンになってから、「あれ‥‥?」と思い始める。
なんか「恐喝利得罪」とか罪状と名前が急に出てきてるけど、字体ダサくない?
っていうか、罪状いる??後々この設定が活きてくるのかな、と思ったけど特に活きてはこなかった。2人のリーダーの直接の入所理由は最後までよくわからず。
とはいえ、監獄の建物を活かしたダンスかっけぇ~、と思いつつ見てたら、突如始まるSixTONESの「JAPONICA STYLE」。
‥‥いや、この曲も好きだよ。Mステでやってたし、ダンスもかっこいいよね。でも、ここに入れます??
「Fire Storm」はさ、歌詞に「命を傷つけ~♪」とか「To be free~♪」とか、ちょっと少年刑務所っぽい歌詞入ってるから良いけど、刑務所とJAPONICA STYLE関係あります??
極めつけは「愛」とか「運命」とかの字幕。せっかく田中樹さんがカッコよくアップになってるのに、突然の字幕ジャマじゃない!?ここで私は「やばい、この映画、やっぱりダサい!!」と確信した。
その後、京本大我さん演じるジュンが刑務所に入所して物語がスタート‥‥するものの、ところどころで唐突に差し挟まれる歌。
私はミュージカルが好きで、登場人物が突然歌い出すことには免疫があるつもりなんだけど、それにしても唐突感がすごい。話の流れと歌が合ってないからかな??
京本大我さんは、エリザベートのルドルフ役を演じられただけあって歌もうまいし、歌う回数多めなジェシーさんも低めの声が素敵なだけに、なんかもったいない。
で、その後は赤房と青房の対立⇒ジュンがちょっとずつ刑務所に慣れる⇒刑務所に厳格な新所長(横山裕さん)が現れ、少年たちの不満が溜まる⇒赤房ジョーのお母さんが重病で余命短い&青房タスクは嫁の出産が近いということで皆で協力して脱獄計画⇒脱獄計画実行、途中でジュン死亡、の流れなんだけど、ところどころツッコミどころがすごい。逐一挙げてたらキリがないけど、特に気になったところを挙げてみると、
◗ 刑務所内の少年たちが皆素直で良い子すぎ。特に赤房は、こんなすぐに新入りと仲良くなるもの?? ジョーも人格者すぎじゃない?なんで捕まったの??
◗ ダイケンは最初脱獄に反対してたのに、黒房の話を聞いてなんで協力することにしたの??やっぱりこの刑務所はひどい!と思ったのか?心情の変化がよくわからん‥‥
◗ 脱獄前、ジュンが戸籍のないヒロトに「ここから出たい?」と尋ねると、ヒロトは「俺はここでいいや★」的なことを答えてるけど、いつかは社会に出なきゃならんだろう‥‥ジュンも、「俺もここが‥‥皆が好きだ!」って言ってるけど、少年刑務所がそんなパラダイスみたいな扱いでいいのか?
特に今回、Mステで見て気になってたのが森本慎太郎さんで、目鼻立ちはっきりしてて男前でカッコいいな~と注目してたので、ヒロトがどんな子か気になってたんだけど、
とにかく「戸籍がない」という設定の一点張りで、しかもその設定が何かに活かされてる訳でもなく‥‥
「知らないだろうけど、戸籍がないって本当に大変なんだよ」みたいな台詞があったけど、「そりゃそうだろうよ!!知らないけどそれはわかってるよ!!」と心の中でツッコミを入れてしまった。
世間知らずっていうキャラ設定っぽかったけど、戸籍がない=世間知らず、っていうのも違うと思うしなぁ‥‥。
まぁ、限られた時間で一人一人のキャラを深堀りするのは難しいっていうのはわかるし、ご本人の演技はとても可愛くて良かったです。よしよししたくなる感じ。
あと、最後の最後に吹きそうになったのが、映画のエンドロールの参考文献ですね。
『少年たちの贖罪ー罪を背負って生きる』という本が参考文献に挙げられてたけど、贖罪の要素ありましたっけ?? 全然罪贖ってなくない??
‥‥とまぁ、色々ツッコミどころはある映画でしたが、トータルでいうと私はすごく楽しめたし、何ならもう一回観に行きたいと思っている。
他の方のレビューを見ていても、「ダサいと思ったけどもう一回見たい」とか、「中毒性がある」という言葉をよく見かけて、それって何でなんだろう?と考えてみると、
むしろ、「ダサくてツッコミどころが多すぎるからこそ、ハマるんじゃないか?」と思った。
仮にこの映画がすごくオシャレに作られていて、ダンスシーンの変な字幕とかもなく、ストーリーにも隙がなかったとしたら、「いや~、面白い映画だったねぇ」の一言で終わってたかもしれない。ツルッと見て、ツルッと忘れる感じ。
でも、「いやいや、おかしいでしょ」ってところが多いからこそ、それが「引っかかり」になる。
「引っかかり」があるからこそ、「なんか気になる‥‥もう一回見てみよう」とか、「あのシーン意味不明だったから、もう一回見て確認したい」ってなるんじゃないかなぁ。それが、「ダサいはずなのに、また見たい」っていう、中毒性につながってるのかもしれない。
あと、ダサいなぁと思うポイントが色々あるのに、この映画がエンターテインメントとして完成しているのは何故だろう?と考えた時に、私が思い出したのは「宝塚」でした。
私は以前、宝塚が好きで、東京宝塚劇場で演目があるたびに観に行っていたのですが(※最近はよく知りません)、
宝塚もまた、(脚本家によるけど)「ちょっと古くさすぎない?」「なんかダサい‥‥」と思う演目や演出をする時がある。
「そこで急に歌い出します?」とか、「ストーリー展開、雑っ」と思ったこともけっこうあった。
でも、宝塚もまた、エンターテインメントとして完成してるんですよね。最終的には、「なんかキラキラしてたし、見て良かったなぁ」ってなる。
それってたぶん、「ダサいけど、やり切ってる」からなんですよね。全員が全員、全力でやってるから、ダサかろうが何だろうが、一つの様式美みたいになってる。
あと、「トップのメンバーをとにかくカッコよく魅せる」っていう明確な目的があるから、ストーリーがブレブレでも、最終的には「まぁ、観て良かったな」となる。
‥‥まぁそう考えると、ジャニーズに1ミリも興味のない人は見ても楽しめないかもしれない。私はとにかく、「Mステがカッコよかったから、この子たちをもっと見たい」っていう目的があったからな。
それにしても、こんな風に観客に色々考えさせることすら計算して、あのツッコミどころやダサさが作られているのだとしたら、ジャニーさんってやっぱりすげぇな‥‥と思う。
ここまで書いてみても、やっぱり「あのシーン何だったんだろう」とか、「あのシーンの流れ、もう一回見たい」という思いが出てきてしまっている。
色んな意味で、ジャニーズとは何ぞや、というのを感じさせ、考えさせてくれた映画でした。奥が深い‥‥。